最近「メタバース」という言葉をよく聞くけど、少し前に流行ったセカンドライフとはどう違うの? セカンドライフの二の舞にはならないの? いろいろ教えてほしい
このような疑問にお答えします。
VRChat world「星夢島 -Star Reverie Island-」にて
まずメタバースとは何なのか簡単に説明します。
メタバースとはざっくりいえば「インターネット上の仮想空間」です。そこは現実世界と同じような3次元空間が広がっている世界で、アバターと呼ばれる分身を用いてユーザー同士でコミュニケーションを取ることができます。
具体的なプラットフォームは「VRChat」「Cluster」「Decentraland(ディセントラランド)などがあります。アバターを用いてコミュニケーションをとるという点では「フォートナイト」や「どうぶつの森」も広い意味でメタバース扱いされることもあります。
メタバースは、超越したという意味の「Meta(メタ)」と、宇宙という意味の「Universe(ユニバース)」を組み合わせた造語です。
Wikipediaより Live radio hour in Second Life with Draxtor Despres and Jo Yardley 著作者「HyacintheLuynes」 CC BY-SA 3.0
セカンドライフは2003年に米国リンデンラボ社がサービスを開始した「メタバースの元祖」とも呼ばれるプラットフォームです。
アバターを用いて仮想空間で世界中のユーザーとコミュニケーションをとったり、仮想空間の土地やアイテムを売買して稼いだゲーム内通貨を米ドルと交換できるといった、当時としては革新的なサービスであったことから大きな注目を集めました。
流行のピーク時の2008年には会員数が1500万人を突破。世界各国のマスコミにも取り上げられ、大手企業も参入したことから大きな社会現象になりました。
特筆すべきは、ゲーム内通貨「リンデンドル」を用いてゲーム内の土地やアイテムを売買できること。ユーザーは自分でキャラクターや家をデザインして収益を得る仕組みが確立されていました。
現在の「仮想通貨」や「NFT」にも通じるサービスを20年も前に実現していたのは驚きですね
セカンドライフも数あるメタバースプラットフォームの中の一つです。アバターを用いて仮想空間でコミュニケーションをとれるという点では、VRChatなどと変わりません。
ただ、2021年ごろから話題となっている「メタバース」とは異なる点も多くあります。
メタバース | セカンドライフ | |
---|---|---|
登場時期 | 2021年※1 | 2003年 |
使用デバイス | PC・スマホ・VRゴーグル・ゲーム機 | PC |
VRデバイスの対応 | 〇 | × |
ブロックチェーンの対応 | 〇 | × |
仮想通貨の対応 | 〇 | △ |
アバターの使用 | 〇 | 〇 |
土地やアイテムの売買 | 〇 | 〇 |
※メタバースという言葉が流行りだしたのは2021年頃だが、サービス自体はそれ以前から存在する
セカンドライフが登場したのは2003年。メタバースという言葉が流行りだしたのが2021年なので、20年近くも前です。
使用デバイスもセカンドライフはPCだけですが、現在のメタバースはデバイスの進歩により、PCだけでなくVR機器やスマホからでもアクセスできるプラットフォームもあります。
ブロックチェーンの有無も大きな違いです。
仮想空間の土地やアイテムを売買できるメタバースサービス(THE SandBoxやDecentralandなど)は、偽造や複製が困難なブロックチェーン上に構築されているため、セキュリティが強固で信頼性・利便性の高いプラットフォームを実現しています。
一方、セカンドライフでもリンデンドルという通貨を用いて土地やアイテムを売買することはできましたが、ブロックチェーン技術を使用していないため、メタバースに比べて安全面や利便性など多くの点で劣ります。
セカンドライフが登場したのは2003年。大手企業も参入して社会現象にもなったほどですが、その後ブームは急速に沈んでいきました。
ではなぜセカンドライフの流行は一過性に終わってしまったのだろうか? その理由は一言で言えば「登場したのが早すぎたから」です。
セカンドライフが登場した当時はPCの性能や通信速度は今と比べると低く、快適に遊べるユーザーも限定されていました。
収益化が出来たことによる金銭トラブルや、ユーザーによる詐欺行為も多発。また同時期にスマホやSNSが普及しはじめた事もユーザー離れの一因となったのです。
ちなみに「セカンドライフは失敗した」みたいに言われていますが、2022年12月現在もサービスは継続していて、今でもユーザー数は60万人程度いるそうです。
20年もサービスを提供しているのはむしろ成功した部類と言えるのではないでしょうか
ここまでメタバースとセカンドライフの違いを解説してきました。
では、現在話題となっているメタバースはセカンドライフの二の舞となってしまうのか気になるところです。
大手企業も続々と参入していることから、将来的にも大きく市場が伸びていくと期待されていますが、かつてのセカンドライフのように現在のメタバースブームも一過性に終わる可能性もあると指摘している専門家もいます。
一方で、現在のメタバースブームはセカンドライフのブームとはまるで違うと指摘する意見も多くあります。
私もセカンドライフの二の舞にはならないと思っています。
セカンドライフが廃れてしまった大きな理由として、PCの性能や通信速度の問題が挙げられます。
3D空間やアバターを処理するには高性能なPCや通信環境が必要だったため、快適に遊べる環境を整えられるユーザーは限られていました。
しかし、近年はPCの性能や通信速度は飛躍的に進歩。今ではスマホでもアバターを制作できたり、3D空間を処理できるようになりました。
スマホでも遊べる「Cluster」手軽さが売りでユーザー数を増やしている
セカンドライフ当時と比べると、メタバースを体験する敷居は確実に低くなっています。
VR技術が進歩してVRゴーグルの普及が進んでいることもメタバースに将来性がある理由です。
VRゴーグルをかぶると目の前に仮想空間が広がり、より現実に近い体験を得ることができるようになりました。
VRとメタバースの相性は抜群です。VRはメタバースの世界にアクセスするための手段としては最適と言えるでしょう。
現状VRゴーグルは決して使い勝手が良いとは言えませんが、かつてショルダーフォンが携帯電話、スマホへと小型化・軽量化されたように、VRゴーグルも小型化・軽量化されていくと考えられます。
メタバースの将来はVR機器の進歩にかかっているといっても言い過ぎではないと思います
近年のコロナ禍により、他人と直接会ってコミュニケーションをとる機会が減ってしまいました。
そのような状況の中で、物理的な接触を図らなくてもコミュニケーションがとれるメタバースに大きな注目が集まるようになりました。
デジタルデータに唯一無二の資産性を持たせることができるNFTは、メタバースでの活用も進められています。
インターネット上のデジタルデータは簡単に複製が可能なので、資産価値はないものとして扱われてきましたが、ブロックチェーン技術を利用したNFTによって解決されます。
メタバース内で扱われるアバターやアイテム、建造物をNFT化することで資産価値を持たせることができます。そして、それらを仮想通貨によって取引可能にすることで、メタバース内でもリアルの世界と同じような経済活動が行われると期待されています。
メタバースが一過性のブームに終わらない理由を分かりやすく解説しています
ここまで、メタバースとセカンドライフの違いや、メタバースはセカンドライフの二の舞にはならない理由について解説してきました。
では、来るべきメタバース時代に備えて私たちは何をすればいいのか、具体的にやっておきたいことを4つ紹介します。
メタバースの魅力はいくら言葉で説明しても伝わり切りません。1000の言葉より1の体験。実際に自分で体験してみるのが一番です。
現在はスマホで手軽に体験できるメタバースプラットフォームもあるので、まずは無料で遊んでみましょう。
≫メタバースの始め方と必要なもの(おすすめサービス4選)
≫メタバースでできること5選(実体験メリット・デメリットも解説)
メタバースを投資の対象にしたい人は、仮想通貨やNFTに触れておくことをおすすめします。
なぜならメタバース空間の土地やアイテムを売買することで、実際に稼ぐことができるメタバースプラットフォームもあるからです。
具体的には、The Sandbox(ザ・サンドボックス)やDecentraland(ディセントラランド)のような、NFTとメタバースが結びついたプラットフォームがそれにあたります。
それらのサービスではメタバース空間の土地やアイテムを仮想通貨で売買することで収益を得る仕組みが確立されています。
過去にはDecentraland内の土地が2.7億円で売却されたこともあります。
仮想空間「ディセントラランド」の土地が過去最高の2.7億円で売却 pic.twitter.com/PQQzEqHgyN
— ロイター (@ReutersJapan) November 26, 2021
メタバースに興味がない人でも、仮想通貨自体も将来大きな値上がりが期待できるので、これを機会に始めて見るのもいいかもしれません。
≫【初心者向け】仮想通貨の最低限知っておきたい3つの基礎知識
≫【初心者向け】NFTとは?最低限知って起きたい基礎知識
≫【2025年に1BTC=1億円!?】仮想通貨で経済的自由を手に入れる5つのステップ【初心者向け】
メタバースは将来が期待できる成長産業。成長産業には必ずビジネスチャンスが生まれます。
米調査会社エマージェンリサーチ社によると、世界のメタバースの市場規模は2020年は470億ドル(約6.5兆円)だったのが、2028年には8290億ドル(約116兆円)まで成長すると予測しています。
※1ドル140円で換算
参照元:エマージェンリサーチ社公式WEBサイト https://www.emergenresearch.com/industry-report/metaverse-market
メタバースを「遊ぶ」だけなんてもったいない。メタバース黎明期の今のうちにスキルを身に着けておけば、将来大きなアドバンテージが得られます。
メタバースの世界に欠かせないのがアバター。アバターを用いることでなりたい自分になれるのがメタバースの魅力。
アバターを手に入れる方法は様々あります。最近はスマホでも簡単にアバターを作成できるツールも登場しているので、ぜひ挑戦してみてください。
自分だけのアバターを手に入れると愛着がわきますよ。
≫メタバースのアバターどこで手に入れる?入手するための5つの方法
≫【無料】メタバースのアバター作成方法(おすすめ作成ツール4選)
アバターを用いて仮想空間でコミュニケーションをとれるという点ではVRChatなどと変わらない
ゲーム内通貨で収益を得る仕組みは当時としては画期的ではあったが、PCの通信速度やブロックチェーンなどの環境が整っていなかった
PCや通信速度の進歩・VR機器の普及・ブロックチェーンの登場など、セカンドライフ流行時と比べて普及していく環境が整っている
メタバース黎明期の今のうちにスキルを身に着けておけば、将来大きなアドバンテージが得られる
以上、メタバースとセカンドライフの違いについて解説してきました。
メタバースはまだまだ黎明期。将来どうなるかは誰にも予想できませんが、セカンドライフの流行時とは明らかに違う風が吹ていると多くの方が感じてるかと思います。
少しで興味を持っている人は、私と一緒にメタバースの世界に飛び込んでみてはいかかでしょうか?