故人の仮想通貨が借金に!?  家族を不幸に招くデジタル遺品とは?

 

 

こんにちは、うたのです(* ᴗ ᴗ) 2017年から仮想通貨投資を始めています

 

皆さんは「デジタル遺品」という言葉はご存じですか?

 

デジタル遺品とは、故人がパソコンやスマホなどのデジタル機器やインターネット上に残した様々な情報のことです。

 

高齢者のパソコンやスマホの利用者は年々増えているので、今後高齢化社会が進むにつれて、デジタル遺品は大きな社会問題に発展すると言われています。

 

家族を不幸に招く可能性もあるデジタル遺品。その危険性や対策について解説していきます。


デジタル遺品とは?

 

まだ知らない方もいると思うので、まずはデジタル遺品とは何なのか説明します。

 

デジタル遺品とは、故人がパソコンやスマホなどのデジタル機器やインターネット上に残した様々な情報のことです。

 

具体的には

  • ハードディスクに保存された画像や文章
  • SNSやブログのアカウント情報
  • オンラインゲームのアカウント情報
  • ネットオークションのアカウント情報
  • クレジットカードや電子マネーの情報
  • ネット生命保険・医療保険の口座
  • ネット銀行の預金口座
  • 株・FX・仮想通貨などの資産運用の口座

などがあります。

 

これらのデータは本人が亡くなってしまえば、どこに何があるか分からなくなります。たとえ見つけたとしても、ログインIDやパスワードがなければ見ることができないものも数多くあります。

 

パソコンやスマホを持っている人ならほとんどの人が上記のデジタル物を保有しているのではないでしょうか?


デジタル遺品の危険性

 

デジタル遺品は「目に見えない」ので、残された家族がそれを発見しにくいという場合があります。

 

ネット銀行の場合は通帳が発行されないので、故人がネット銀行を保有していたことすら知らないケースもあります。

 

キャッシュカードやパソコンのお気に入りなどから保有していたことを知ったとしても、ログインIDやパスワード・暗証番号が分からなければ、残高を見ることもできないし預金を引き出すこともできません。

 

口座名義人である故人が亡くなったことを銀行に伝えると、口座は即座に凍結されるため、たとえ家族といえども自由にお金を引き出せなくなってしまいます。

 

預金を引き出したり解約するためには、口座名義人が亡くなったことを証明するための戸籍謄本だけでなく、法定相続人全員の同意書を得た遺産分割協議書などの必要書類を提出しなければならず、非常に面倒な手続きが必要です。

 

もし相続人が遠方に住んでいれば手続きに非常に時間がかかる場合もあり、その間生活費を引き出せないなんてこともありえます。

 

遺族がパソコンに詳しくなかった場合、デジタル遺品に気づかずに家族がパソコンやスマホを処分してしまうケースもあります。そうなれば遺族が資産を確認できなくなってしまいます。

 

もし故人が有料サイトの会員になっていれば、解約がされずに延々と銀行口座から会員費が引き落としされることにもなります。

 

このように銀行口座一つとっても、デジタル遺品はこれだけ多くの危険性を秘めているのです。

デジタル遺品が家族を悲劇に招いた実例

 

デジタル遺品と一口に言っても様々なものがあり、トラブルの事例も様々です。

 

「亡くなった父親のパソコンをチェックしていたら、ハードディスクに大量のいかがわしい画像を発見した」なんてことは、残された家族が気まずい思いをするだけでなので、大したトラブルでもないでしょう。

 

「スマホのメール履歴をチェックしていたら、知らない女性と何度もやりとりをしていた」なんてことになれば、残された家族は傷ついてしまったり、その女性とトラブルに発展する可能性もあるかもしれません。

 

デジタル遺品の中でも特にトラブルに発展しやすいのは、何といってもお金関係のものです。

 

故人がネット銀行やFXの口座を保有していたことを家族に伝えていなかったために、深刻なトラブルに発展してしまった事例を2例紹介します。

 

 

ネット銀行の預金口座が相続争いのきっかけに

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残された家族がネット銀行の口座を知らなかったばかりに、遺産相続争いに発展したケースがあります。

 

父を亡くしたAさん。遺産の相続・分配も終えた後に、亡き父がネット銀行の口座を保有していたことが発覚。しかも口座には多額の預金が眠っていた。それを知った兄弟は「Aさんが隠していたのでは?」と疑いの目を向ける。Aさんが知らないと言っても兄弟は「隠していないのなら証拠を出せ」と一点張り。とうとう骨肉の争いに発展してしまいました。

 

兄弟のうちの一人が親と同居していた場合、このようなトラブルに発展するケースが多いようです。

 

 

普段からきちんと、兄弟付き合い、親戚付き合いをしておくことが大事ということですね。

 

 

FX取引で遺族が借金を背負う羽目に

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FX取引のせいで残された家族が借金を背負う羽目になってしまった悲惨な事例もあります。

 

夫を交通事故で亡くしたBさんにFX業者から電話がかかってきた。「夫がFX取引で1500万円の損失を出したから追加の証拠金を振り込んでほしい」という知らせだった。FXの口座を持っていたことすら知らなかったBさんは詐欺だと思ったがこれは詐欺でなかった。その日はスイスフランショックと呼ばれる為替相場が大変動した日で、夫のFX口座はロスカットが間に合わず、口座に預けている額以上の損失が発生。1500万円の損失を被ったという。

 

非常にレアなケースですが、証拠金取引であるFXだと起こりえる事例です。

 

FXでは口座残高がマイナスになった場合追証を求められます。口座名義人である夫は亡くなっているので、遺産相続人である妻に追証の請求がきたわけです。

 

遺産相続には相続放棄と言う手段があるので、相続放棄すれば借金を背負う必要はなくなりますが、他の財産も引き継げなくなります。もし亡くなった夫がマイホームや不動産を保有していれば、それらも手放さなくてはならなくなります。

 

 

Bさんは1500万円を払えず相続放棄したそうです。まさに悲劇ですね…

家族を悲劇に招く可能性の高いデジタル遺品

 

ネット銀行の口座

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ネット銀行の預金口座は、実店舗がある普通の銀行と扱いに法的な違いはありません。

 

持ち主が亡くなった場合は、遺族が問い合わせをすればひとまず口座は凍結され、遺産分割協議を終えれば預貯金を引き出せるようになります。

 

2022年からは遺産分割前でも預貯金を引き出せる仮払い制度がスタートします。

 

ネット銀行は通帳が発行されませんが、取引用のキャッシュカードがあるので、故人の財布などを調べればネット銀行を使っていた痕跡に気づく可能性は高いでしょう。

 

 

有価証券

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ネット証券会社で保有している株も、実店舗がある証券会社と法的な違いはありません。株式を相続するには名義変更が必要で、名義変更をしないと売却もできません。

 

預貯金であれば後で気づいても価値は変わらないが、株価は常に変動しているので、名義変更までの期間に大きな損得が発生するリスクがあります。

 

遺族がスムーズに手続きができるようにきちんと対策をしておきましょう。

 

 

FX(外国為替証拠金取引)

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現物取引の株や仮想通貨は口座に預け入れた額以上の損失は発生しませんが、証拠金取引であるFXは、口座に預け入れた額以上の取引ができるので、遺族が借金を背負う可能性があります。

 

デジタル遺品が遺族を悲劇に招いた実例にもありますが、亡き夫がしていたFX取引のせいで、遺族に1500万円の請求がきたという実例もあります。

 

ただ、近年はレバレッジ規制により25倍までと制限されたので、以前のように1千万円単位の損失が出ることは少なくなったようです。遺族への請求も少なくなったと聞きます。

 

それでも請求される可能性はゼロではないので、FX取引をしている人はきちんと対策をしておきましょう。

 

 

仮想通貨

仮想通貨

 

近年資産運用の手段として人気が高まっている仮想通貨ですが、新たなデジタル遺品として遺族に大ダメージを与える可能性があります。

 

仮想通貨は取引所に預けておくとハッキングや不正ログインのリスクがあるので「ウォレット」と呼ばれる専用のサイフに保管している人も多いです。

 

ウォレットについて詳しく知りたければ以下の記事をどうぞ。

 

メタバース

 

ウォレットは「WEB上で管理するもの」「専用の端末で管理するもの」「紙に印刷して管理するもの」など様々な種類がありますが、いずれも管理にはある程度の知識が必要になります。

 

世界には、ビットコインの管理に失敗して約8億円分のビットコインを捨ててしまった不運な人もいます。

 

⇒7.7億円分のビットコインを捨ててしまった!? 英男性が埋立地を捜索

 

もし持ち主が亡くなって遺族がこれらのウォレットを引き継いだとしても、ウォレットだと気づかなかったり、端末を処分したりしてしまうケースは充分考えられます。

 

 

たとえ遺族がウォレットの価値に気づいたとしても、パスワードがなければ悲惨です。

 

取引所だとパスワードを忘れてしまったとしても問い合わせれば対応してくれますが、ウォレットに保管した仮想通貨は管理者がいないので、パスワードが分からなければウォレットに保管された仮想通貨は絶対に引き出せません。

 

せっかく遺族がウォレットの価値に気づいたとしても、パスワードがなければ扱いようがないのです。

 

 

さらなる悲劇が遺族を襲う可能性がもう一つあります。

 

ウォレットから仮想通貨を引き出せなくても、相続税の対象になる可能性があるということです。

 

2018年3月23日の参議院財政金融委員会にて、国税庁長官代行の藤井健志(当時)は以下のように話しました。

 

 

「遺族がパスワードを知るか否かに関わらず、仮想通貨は相続税の対象とみなされる可能性がある」
参照:https://diamond.jp/articles/-/284103

 

 

遺族がウォレットのパスワードを知っているかどうかは当事者にしか分からないことであり、仮に遺族が「パスワードを知らない」と嘘の申告をすれば、相続税を逃れることができてしまいます。

 

そのため、故人が多額の仮想通貨をウォレットに保管していれば、遺族は仮想通貨を引き出せなくても相続税が請求されるかもしれないのです。

 

こんな理不尽なことはないでしょう。

残された家族のためにも必ず対策を

 

お金に関するデジタル遺品は残された家族を苦しめることになりかねません。

 

近年は「デジタル終活」なんて言葉も出てきています。デジタル遺品トラブルの最大の原因は「目に見えない」ことなので、やはり「目に見える形で残しておく」ことが一番です。

 

デジタル遺品を整理する際、最も困ることは「パスワードが分からない」となので、銀行口座や投資用口座のログインIDやパスワード・暗証番号の一覧表を作成し家族がすぐにログインして売却できるように事細かく記載しておく必要があります。

 

ログインIDやパスワードを直接ノートに残すと、万が一ノートが盗難された場合に悪用される危険性もあるため、家族にだけ推測できるように暗号化することも必要です。飼っているペットの誕生日・前に住んでいた住所の郵便番号などのように、家族しか知りえないような秘密の質問形式にすればいいでしょう。

 

口座がたくさんあると分かりにくいので、不必要に多くの口座で使用することはせず、未使用の口座は全て引き出して解約しておくといいでしょう。

 

 

デジタル遺品は高齢者だけの問題ではなく若者だって変わりません。たとえ若くても不慮の事故で突然亡くなる可能性もあります。

 

残された家族に迷惑をかけないためにも、デジタル遺品になりうるものの整理をしておくことを強くおすすめします。