最近Web3.0って言葉をよく聞くんだけど、お姉ちゃんは知ってる?
Web3.0はブロックチェーンによって構築される「分散型のネットワーク」を指す言葉よ。
「次世代インターネット」とも呼ばれていて、従来の中央集権型のインターネットが抱えている問題を解決できると言われているわ。
ごめんお姉ちゃん…何言ってるのか全然わかんない
アハハ。ごめんごめん。じゃあ、なるべく難しい言葉を使わずに解説していくわ。
「Web3.0(Web3)」は、2014年にイギリス人学者のギャビン・ウッド氏によって提唱されたインターネットの新しい概念です。
2021年後半ごろから、メディアやSNSなどでも「Web3.0」というワードを目にする機会が多くなりました。
「仮想通貨」「メタバース」「NFT」と共に語られる事も多く、意味はよく分からなくても言葉自体は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか?
Web3.0は一言で言えば「次世代の分散型のインターネット」近い将来実現する可能性の高い未来のインターネットのあり方です。
Googleトレンドでは2021年後半から注目度が急上昇
ツイッター上でのイーロン・マスク氏とジャック・ドーシー氏による論争が話題
Web3 sounds like bs
— Elon Musk (@elonmusk) December 2, 2021
イーロン・マスク氏「Web3.0はデタラメ」
You don’t own “web3.”
The VCs and their LPs do. It will never escape their incentives. It’s ultimately a centralized entity with a different label.
Know what you’re getting into…— jack (@jack) December 21, 2021
ジャック・ドーシー氏「Web3.0を所有しているのはあなたではない」
日本政府もWeb3.0を成長戦略の柱として掲げる
シリコンバレーでは、GAFA(Google・Apple・Facebook・Amazon)に代表されるIT企業のエンジニアたちが、Web3.0関連企業へと相次いで転職している。
≫グーグル、アマゾンなどの大手テックから人材が流出している…仮想通貨やWeb3関連企業への転職が加速
Web3.0を理解するには、インターネットの歴史を知ればより理解が深まります。
インターネットの歴史は大きく分けると
「Web1.0」
「Web2.0」
「Web3.0」
の3つのくくりに分けることができます。まずは「Web1.0」「Web2.0」とは何なのか? インターネットがどう進化してきたのかを振り返った上で「Web3.0」について話を進めていきます。
遠回りのようですがお付き合いくださいね。
Web1.0の時代は1990年頃から2000年初頭ぐらいね。日本では1992年にプロバイダーによるインターネットサービスが始まって、一般家庭にも普及していったわ。
私もお姉ちゃんもまだ生まれてなかった頃だね。その頃のインターネットはどんな感じだったの?
当時のインターネットはHTMLを用いたホームページが主流だったの。回線の速度も遅かったから、画像一枚を表示するだけでも大変な時間がかかっていたらしいわ。
ホームページを制作するにもHTMLやCSSといった知識が必要で、パソコンなどの機材も高価だったので、今のように誰もが気軽に情報発信できる時代ではなかったわ。
そういえばお父さん言ってたね。昔はパソコン高かったって。何か月もバイトしてためたお金でパソコン買ったって言ってた。
コミュニケーションの手段はメールが中心で、情報の発信者と閲覧者の相互のやり取りはほとんどできなかったわね。
「Web1.0」は、多くの人にとってWebページを閲覧するだけだったので「ホームページの時代」「一方向の時代」なんて言われているわ。
今はSNSとかで簡単にやり取りできるもんね。今と比べるとずいぶんと不便だったんだね。
それでも当時はWebページを見られるだけでも革新的だったのよ。テレビや新聞に変わる新しい情報発信の媒体として、インターネットは画期的な発明だったと言えるわね。
2000年代になるとインターネットはビジネスや行政の場でも広く活用されるようになるわ。Googleの日本語サービスやAmazonが日本でサービスを始めたのもこの頃よ。
Web2.0を象徴する出来事と言えば、なんといってもSNSの登場ね。うたのもSNSはしてるでしょ.。
うん。私はツイッターしかしてないけど、お友達の中にはインスタやティックトック、フェイスブックまでしてる子もいるよ。
さすが現代っ子ね。Web2.0はそれらSNSによって、ユーザー同士による双方向のコミュニケーションが可能になって、誰もが気軽に情報発信したり、コンテンツを生み出せることが可能になったのが特徴よ。
「Web1.0」の時代と比べると一気に便利な時代になったんだね。
そうね。回線の速度や安定性も飛躍的に進歩したおかげで、画像や動画も気軽にみられるようになったわね。
Youtubeがあれば好きなコンテンツを無料で見られるもんね。
スマホも「Web2.0」の普及を後押ししたわね。スマホ一台あればいつでもどこでも情報の発信や閲覧ができて、世界中の人とつながれる「Web2.0」は「SNSの時代」「双方向の時代」とも言われているわ。
Web2.0を知るうえで絶対に欠かせないのがGAFAの存在ね。
うたのはGAFAって言葉は聞いたことあるかしら?
がーふぁ? 聞い事あるようないような…
GAFAは「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」のそれぞれの企業の頭文字をとってGAFAって呼ばれているわ。
Facebookは、2021年10月28日付で社名を「Meta(メタ)」へと変更しました。
Google(グーグル)
1998年に設立。検索エンジンの「Google」はシェア率90%以上を占めており、世界中で多くの人に利用されている。ググるという言葉はインターネットで検索するときの代名詞にもなっている。
今や世界最大の動画配信サイトに成長したYoutubeは2006年にGeogleに買収されており、現在は子会社の一つとして運営されている。
Apple(アップル)
1976年にカリスマ的経営者として知られるスティーブ・ジョブスら3人によって設立。
「Mac」「iPod」「iPhone」など、様々な革新的デバイスを提供しており、これらApple製品を特に好んで利用している人は「Apple信者」とも呼ばれ熱狂的なファンも多い。
スティーブ・ジョブスは若い時から東洋思想に強く影響を受けており、特に禅に深く傾倒していた事で知られている。2011年に56歳の若さでこの世を去った。
Facebook(フェイスブック)
2004年にマーク・ザッカーバーグとルームメイトの2人によって設立。
世界最大級のSNSである「Facebook」は世界で約30億人が利用しており、日本でもビジネス層の利用者を中心に多くのユーザーが利用している。
2012年には写真投稿SNS「Instagram(インスタグラム)」を買収。多くの芸能人やセレブが利用していることから日本でも急速にユーザー数が増え、インスタ映えという言葉も流行した。
2021年には社名を「Meta(メタ)」へと変更。今後はメタバース事業へ本格的に参入していくことを表明した。
Amazon(アマゾン)
1994年にジェフ・ベゾスによって設立。世界最大のオンラインショッピングサイト「Amazon」を運営。近年は映画や音楽などのコンテンツを配信している「Amazonプライム」や、書籍をモバイル端末で読める電子書籍「kindle」も人気を博している。
新型コロナウイルスの影響でインターネットで買い物をする人が増えたおかげで、Amazonの売上高は好調に拡大している。
私でも聞いたことあるような有名な企業ばかりだね。
検索エンジンのGoogle。SNSのFacebook。ショッピングサイトのAmazon。Appleのスマートフォン。インターネットをしていてこれらのサービスを全く利用したことがない人はいないんじゃないかしら。まさにGAFAの存在無くしてはインターネットはできないと言っても言い過ぎではないわね。
欲しい情報に簡単にアクセスでき、誰とでも気軽に繋がれるようになった「Web2.0」
限られた人しかインターネットを享受できなかった「Web1.0」と比べるとずいぶんと便利な時代となりました。
一見すると何の問題もないように思えますが、近年多くの問題点が指摘されるようになってきました。
Web2.0の問題点としてまず挙げられるのは、個人情報の独占によるセキュリティやプライバシーの問題ね。
個人情報って、名前とか住所とか誕生日とかのことだよね。
それだけじゃないわ。インターネットをしていると色々と広告が表示されるでしょ。
うん。Youtubeでも色々と広告が流れるけど、あれって人によって流れる広告が違うんだよね。
ええそうよ。ユーザーの視聴履歴や行動履歴などから趣味や嗜好を分析して、その人にとって興味や関心がある商品を広告として流しているのよ。
GAFAが巨大企業に成長できたたのは、これらの個人情報のおかげです。
ユーザーに関する莫大な個人情報を収集・分析することで、様々なサービスを提供しています。GAFAを利用するユーザーが多ければ多いほど蓄積されるほどデータが多くなるので、ユーザーのニーズをより把握できるようになり、新たなビジネス展開へと結びつけられて有利になります。
GAFAに代表される巨大企業には、もう他の企業では太刀打ちできないほどの膨大な個人情報が流れています。
このことから、特定企業へ個人情報が集中することによるセキュリティーやプライバシーの問題点が指摘されるようになってきました。
実際に個人情報の流出や不正利用が後を立ちません。個人情報が悪用された事例は色々ありますが、一番悪質とも言えるのがケンブリッジ・アナリティカ事件です。世界最大のプライバシー事件とも言われています。
2016年に選挙コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ社」が引き起こしたスキャンダル事件。
ケンブリッジ・アナリティカ社はFacebook利用者8100万人分の個人プロフィールを不正に取得。それら個人情報をイギリスのEU離脱(ブレグジット)を問う国民投票や、アメリカ大統領選挙の政治広告に利用。
国民投票ではブレグジットに誘導、大統領選挙ではトランプ支持に誘導し、両選挙の結果に大きな影響を与えたと言われている。
日本ではFacebook利用者が比較的少ないことから直接的な影響はあまりなかったが、震源地の欧州ではこの事件をきっかけに国民のプライバシーリテラシーは高まり、個人情報の保護ルールを強化したGDPR(一般データ保護規則)の施行につながった。
自分の考えで投票したつもりが、裏で操られていたかもしれないってことだね。なんか怖いね。
Web2.0の世界では個人情報がどのように利用されているかは私たちユーザーには知る由がないから、このように思想をコントロールする広告を表示することもことも可能なのよ。
インターネットの様々なサービスを無料で利用できるのは一見すると喜ばしいことだけど、特定企業へ個人情報が集中することによるセキュリティーやプライバシーの問題を知っておいた方がいいわね。
タダほど高いものはないとはよく言ったものだね
確かうたのは好きなVtuberがいたわよね。
彼女のライブ配信でスパチャはしたことあるのかしら?
スパチャとは
スーパーチャットの略。Youtubeでのライブ配信における投げ銭機能のこと。自分のお金を配信者に直接渡すことができる。配信者へスパチャできる金額は1日当たり100円~5万円。
2017年に導入されて以来、多くのクリエイターに利用されており、人気YoutuberやVtuberとなると、1回の配信で数百万円のスパチャを獲得することもあるという。
1回だけあるよ。スパチャにはクレジットカードが必要だから、お母さんに頼んでしてもらったの。確か1000円ぐらいだったかな。
閲覧者が配信者にスパチャをしたら、Youtube側にいくらか手数料が取られるんだけど、その手数料は何%ぐらいと思う?
うーん…よく分からないけど、5%ぐらいかな? 1000円スパチャしたら50円が手数料で、950円が配信している人の利益になるのかな?
いいえ。スパチャの手数料は30%よ。1000円スパチャしたら手数料は300円で、配信者の利益は700円にしかならないのよ。
30%って…滅茶苦茶高いね。
配信者の立場からすると高いというのが本音じゃないかしら。iPhoneのアプリからスパチャをするとアプリの手数料もかかるので、取り分はさらに少なくなるのよ。
Vtuberの収入事情を赤裸々に告白!
スマホのアプリでも高額な手数料が問題になってるわね。フォートナイトの乱というのが有名ね。
フォートナイトの乱
人気バトルロワイヤルゲーム「フォートナイト」が、iOS端末とAndroid端末で独自の課金システムを実装したことに端を発するプラットフォーマーとアプリ開発者の対立。
フォートナイトを手がける米Epic Games社は、Appleのアプリストア「App Store」とGoogleのアプリストア「Google Play」が、アプリ開発者に30%の販売手数料を課していることに対して「あまりにも高額だ」「独占的な地位を乱用している」と異を唱え、両アプリを通さない独自の課金システムを導入。
Apple社とGoogle社はこれを規約違反として「App Store」と「Google Play」からフォートナイトを削除。Epic Games社はすぐさま「独占禁止法違反だ」と両社を提訴した。
なぜこれほど高額な手数料がかかるのか?
Web2.0をけん引してきた巨大企業群GAFA。あまりにも規模が大きくなりすぎたため、新規の企業が参入する余地はほとんどないと言われています。
すでに多くの分野でGAFAによる市場の寡占が続いており、もはやGAFAの存在無くしてはインターネットはできないと言っても言い過ぎではありません。
となると、健全な市場競争が生まれなくなりユーザーへの手数料価格競争が起こりません。私たちはGAFAのサービスを利用するたびに高額な手数料が発生することになるのです。
これら高額な手数料は「Google税」「Apple税」とも揶揄されていて、世界的に批判が巻き起こっています。
絶対的優位な立場にいるAppleやGoogleなどの市場独占は、近年世界中で問題視されています。
アメリカでは「アプリストア規制法案」が議会に提出されて議論されています。これはAppleやGoogleなどのアプリストアが、アプリ開発者に対して自社の決済システム利用を義務付けることを禁止する法案です。
米上院委、アプリストア規制法案可決 アップルやグーグル対象
https://jp.reuters.com/article/tech-antitrust-congress-idJPKBN2K9002
韓国でもAppleとGoogleのアプリストアの手数料を規制する法案が承認されました。法制化されればアプリ開発者は韓国のアプリストアでは独自の決済サービスを利用できるようになります。
韓国議会、AppleとGoogleのアプリストア手数料を規制する法案承認
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2109/01/news082.html
Web2.0の3つ目の問題点がサービスを提供する企業による所有権の独占ね。
例えばAmazonにkindleっていう電子書籍があるでしょ。
うん。あれ便利だよね。いつでも好きな本が読めるし、本を置くスペースもいらないし。
そうね。電子書籍は紙の本と比べるとすごく便利だけど、実は一つだけ大きな欠点があるの。それは電子書籍には購入したユーザーに所有権はないことなの。
もし規約違反でアカウントがBANされたり、サービス自体が終了してしまえば、購入した電子書籍は読むことができなくなってしまうのよ。
えっ、そうなの? お金を出して購入したのに自分のものにならないってこと?
ええ。電子書籍はあくまでも「利用権の購入」であって、そこで読む権利があるだけなのよ。いわば図書館で借りた本と同じようなものね。
これはYouTubeでも同じことが言えるわ。YouTubeにアップした動画はYouTube側が管理をしているから、もし利用規約に触れたと判断されたら、ペナルティを受けたりアカウントがBANされたりして見られなくなってしまうこともあるでしょ。
そういえば、YouTuberさんやVTuberさんが「BANされた」とか「収益が停止された」とか言ってるね。
このように、個人が購入した商品や制作したコンテンツであっても、企業側が管理をして所有権を独占しているので、ユーザーに所有権がないというのが問題点として指摘されているのよ。
Web2.0はGAFAのような巨大企業による中央集権的なサービスによって成り立っています。
インターネットで何かを調べるにも情報を発信するにも動画を配信するにも、GoogleやYoutubeなどの巨大プラットフォームを利用しなければなりません。それらプラットフォームの定めたルールに反したり意にそぐわないことをすると、アカウントが凍結されたりサービス自体が利用できなくなることもあります。
以前トランプ元大統領のツイッターのアカウントが永久凍結されるという事態が起こりましたが、企業の意にそぐわないことをしたら、元大統領でさえ簡単にWeb上での活動を制限されてしまいます。
トランプ大統領のツイッターアカウント凍結に関しては
・Twitter社による人権侵害
・Twitter社が利益追求のためにアカウントを永久停止するのは当然の権利
という主張が真っ向から対立して議論が巻き起こっています。
このように特定の企業が絶大な権力を握っているという構造に対して多くの懸念が広がっています。
今回の記事では
次回はいよいよ「Web3.0」について深堀していくわよ